けんちく工房邑は茨城県つくば市を拠点に、板倉工法や民家再生をとおして、自然素材による住まいを設計から施工まで請け負う、無垢の木の家をつくる地域ビルダーです。
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野田の家(H邸)

- けんちく工房邑をお知りになったきっかけなど、教えてください
- 長男が生まれるまで小さなアパートに住んでいて、漠然と今後も住んでいくんだなと思っていたのですが、子供が育っていく中で近所への騒音や、「もっと広い場所で遊ばせてあげたい!」などの思いが強くなり、自然と一戸建てに住んでみたいなぁと考えるようになりました。
私(夫)が洋画が好きで、外国映画に出てくる大きいエントランスに階段の広いアメリカ的な住宅を当初は夢見ていました。大きな家と大きな庭で芝刈りをしたり、何か日曜大工したりすることばかり考えていました。
自然な雰囲気が好きな妻とは意見が大きく異なり、方針が定まらない日々が続き、自分なりに妻に合わせたつもりでログハウスなどを見学に行ったりもしました。しかし、二人で「何か違う」という違和感がのこり、家づくりの資金計画なども全然分からず、途方に暮れて いました。
その頃、ちょうど長男がアレルギー体質なのが判明し、夫婦で自然に「体にやさしい家」「天然素材の家」という共通認識が生まれていきました。日本らしい日本の気候に合った家、伝統工法を使った家というテーマも決まり、毎晩、雑誌やネット検索で来る日も来る日も情報収集に明け暮れた結果、ふとしたことで邑さんのHPに行き当たりました。きれいな無垢材を使用した柱、床・壁・天井すべてにふんだんに木材が使われた板倉工法に自分たちの理想があるのではないかと夫婦で手を取り合って喜んだのを覚えています。
急いで邑さんにコンタクトし、間もなく邑の事務所で応対してくださった大類さんに、自分たちの理想や資金が足りない話、こんな家がいい、こんなことがしたい等を遠慮なくブチまけてしまいました(笑)。
それまで2件ほど別の設計事務所に行ったことはあったのですが、あまり親身には聞いてもらえなかったのですが、大類さんは何時間も「うんうん」と優しい表情でただただ私の話を聞いてくださり、それだけでもう嬉しくて帰ってから妻に何度も「あんな話もこんな話も聞いてくれたんだよ」と興奮して報告しました。
それだけでもう私たちは「邑さんにお願いしたい!」と決めてしまったのです。羅針盤のない海で漂っていた私たちに光が見えた瞬間でした。
その後も板倉工法とは?無垢の家のメリットデメリットとは?構造の仕組みなどを聞き、さらに確信を深めていきました。
今でも忘れませんが、大類さんが「資金が足りないからといって邑の家は素材をごまかしたり減らしたりしない。そのかわりに坪数を減らし、小さくてもしっかりした構造の家にする」と宣言してくださり契約を決めました。
- ご家族の家づくりにおけるこだわりは?
- 我が家のテーマであった「なつかしい日本の家」と「自分たちで育てていける家」それと「薪ストーブのある家」を柱として設計をすすめていきました。その中で実際に具現化されたのは、四季を通して楽しめる軒の深い縁側デッキとそこへ出る大開口サッシ、手入れしやすいシンプルな構造、 自分たちで煙突そうじが出来るように屋根裏から天窓を抜けてルーフトップへのスムーズな経路などがこだわった点です。
- 木の家に住んでみての感想をお聞かせください。
- 邑さんと相談・設計を進めていくなかで、「無垢の木の家は夏はサラッとしてヒンヤリするし、冬は昼間の太陽をたっぷりと蓄熱して夜までほんのり暖かい」と聞いていましたが、住み始めて本当にその通りでした。
特に真夏の炎天下で外気温は35℃、窓も障子も閉めた状態なのに室内は床はサラサラで少し涼しさも感じるほど。
冬場はなんといっても縁側に面した窓辺で木の床にゴロン。床暖房のようにぽかぽかで昼寝のベストポジションです。
季節を通じて「穏やかな住み心地」を感じられる家です。いつの季節もほどよい空間を作り出してくれます。
疲れやすく、あまり動きたがらないアレルギー体質の息子は以前よりもノビノビと活発に家の中を楽しんでいます。
私たち夫婦はアパート時代に比べ、「ここがこんな風になったね」とか「あそこを使いやすくできないかな?」など家のさまざまな出来事に気が回るようになりました。
また、最初はみずみずしかった無垢の木材も少しずつ表情を変えてきています。外壁は無塗装にしましたが段々と木の茶色から渋く少し光沢のある銀色に変化して大人っぽい装いになり、室内も太い梁などに乾燥するとおこる「木割れ」という裂け目があらわれ、貫禄が出てきました。
- ご自宅で「最も居心地のよい場所」と「最も居心地の悪い場所」を教えてください。
- 居心地のよい場所はまず「寝室」です。ここも室内全面に無垢の木が見えていますが、視覚的にも香りの面でもすごく落ちついて安眠できています。
それと「2階読書スペース」も照明のバランスと腰の高さの書棚が床に座ったり、寝そべったりして家族それぞれが思い思いに読書にふけっています。
当然ですが、居心地の悪い場所はありません(笑)。
- 「ここはこうしておけば良かったかな~」などの失敗談を教えてください。
- 風呂場の内装の木壁はていねいに水気をふき取らないとカビが出やすいので、換気や通気をもっと充実させればよかったと思います。
あと、収納は少なめにしたのですが、もう少し工夫してスペースを取ればよかったです。
- 木の家の「お手入れ」について、お聞かせください。
- アルミサッシは冬場の結露をある程度覚悟しなければなりません。朝起きたら、障子を閉めっぱなしにせず窓サッシを空気にさらして乾かすこと。
風呂場や洗面所でついた水気や汚れはこまめにふき取らないとカビや黒ずみの原因になります。
木がささくれたり、運悪く大きなシミがついた場合は大胆に「紙ヤスリ」で削ってしまいます(笑)。その後、蜜蝋ワックスで仕上げると再び生き生きとした木目が見えてきます。あとは定期的に家中の窓をあけて、30分ほど換気すると湿気も取れて杉の香りが増します。
- 「設計者との打ち合わせ」について、お聞かせください。
- 我が家を担当してくださった設計者さんとは本当に徹底的に話し合い、アイディアを出し合いました。
最初は私たち夫婦の小さく自信のない要望を根気強くふくらませていってくれました。
「こんな感じ」とか「ああいう雰囲気」という漠然としたイメージも最後は必ずリアリティのあるビジョンに落とし込んでくれたので助かりました。
玄関の間口から縁側の高さ、ドアの取っ手の位置や漆喰壁の触り心地などを納得できるまで話し合いました。時には邑の事務所から出て、建築現場で実物を見ながら検討したり時間がない時は私の職場近くのファミレスで夜まで打ち合わせもしましたね(笑)。
施主と設計者という間柄を越えて、お互いがひとつの住宅に情熱と根気とエネルギーを注げる設計事務所はけんちく工房邑だけだと思います。
- 工事期間中の想い出など、お聞かせください。
- ドキドキしながらの上棟式も終えて、担当大工さんたちともご挨拶できましたが、いつも緊張しながら現場に見に行ってたのを思い出します。
でもそんな心配をよそに気さくに大工さんが「今はこんな事やってるよー」なんて大工道具まで見せてくれて感激しました。
行くたびに工事が進んで、壁にはこんなにいろんな材が入っているとか、床には配線がこの方向に入ってるとかを間近に見ていくと、完成後にもある程度は自分で仕組みを理解してメンテナンスができるので、こまめに見学して我が家の構造を見ていくのは良いことだと思いました。
- 今後、木の家を建てたいとお考えの方へ、アドバイスなどお願いします。
- 「木の家」というと聞こえはいいけど、実際住むにはどうなんだろうという方が多いと思います。全てが標準装備で、みんなが使っている安心のシステムを取り付け、同じ見た目の家に何十年も住むことに私たちはガマンできませんでした。
自然の無垢の木をふんだんに使った、人間や環境のサイクルに適した自分たちの想いがいっぱい詰まった「我が家」で死ぬまで住み続けたい。
そこまで思える空間が「木の家」にはあると思います。
木は生きていますし、見た目も毎年変わって年季が入ってきます。
我が家も住み始めて5年目になりますが、まだまだ私たちが求めるトータル的な理想像には到達していません。
建てて完成したら家づくりはゴールではありません。自分たちで手入れをし、暮らしやすさを追求する中で、家族の成長とともに「木の家」は変化をしていきます。
そんな暮らしや生活に少しでも興味があればぜひおすすめしたい家です。
- 最後に弊社に対するご要望をお聞かせください。
- いつもありがとうございます。
今までもこれからも、私たち住む人間の目線でサポートしてくださっていれば他に何も要望はありません。
強いて言えば、もっと板倉工法の魅力を感じられるウェブサイトの充実をお願いします。
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